「なんとなく体の調子が悪い」
「何もしていないのに肩こりや腰痛がつらい」
このように感じている人は、骨盤の歪みに原因があるかもしれません。骨盤が歪んでしまうと体に負担がかかり、さまざまなトラブルを引き起こすことがあります。
そこでこの記事では、骨盤の歪みがひどくなると体にどのような症状や悪影響が出てくるのかを詳しく解説します。骨盤が歪んでしまう原因を知り、ひどくなる前に対処することが大切です。
後半ではセルフチェックの方法やストレッチも紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。骨盤の歪みによる体調不良を改善し、健康的な体を手に入れましょう。
目次
骨盤の歪みが引き起こす体への悪影響
体の中心にある骨盤には、上半身や内臓を支えるという大きな役割があります。
骨盤に歪みが生じると左右のバランスが悪くなり、正しい姿勢を取りづらくなることが考えられます。悪い姿勢のまま生活を続けていると、体のさまざまな場所に悪影響を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
ここでは、骨盤が歪んでしまうことで体に引き起こされる4つの悪影響について解説します。
骨盤の歪みが引き起こす4つの悪影響
それぞれみていきましょう。
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1. 下半身の冷えやむくみ
骨盤の歪みが引き起こす体への悪影響の1つ目は、下半身の冷えやむくみです。骨盤の歪みによって血流が滞り、下半身の冷えやむくみを引き起こしている可能性があります。
骨盤まわりには、心臓から下半身に向かう血管と、下半身から心臓に戻る血管が通っています。そのため、骨盤の歪みによって血管が圧迫されると血の巡りが悪くなります。
体の熱は血流にのって運ばれるため、血液循環が悪化すると、体の末端まで十分に熱が届けられなくなり、冷えを引き起こすのです。また、骨盤の歪みは、足のむくみにもつながります。骨盤が歪むと、太ももの付け根あたりにある鼠径リンパ節が圧迫されたり引っ張られたりして、リンパの流れが悪くなります。このときリンパ節と同時に血管も圧迫され、血液循環も悪くなってしまうのです。
血液循環が悪くなると血液中の水分が停滞し、静脈から水分が漏れ出してしまうことから、むくみが発生する原因となります。 -
2. 太りやすくなる
骨盤の歪みが引き起こす体への悪影響の2つ目は、太りやすくなることです。
骨盤には、身体の中心で内臓を支える大事な役割があります。
骨盤が歪んで外側に開いてしまうと、骨盤に支えられていた内臓が下がってきます。そのせいで下腹部が出たり、お尻が大きくなったりするなど、太りやすくなってしまうのです。また、胃や腸などの臓器が下がると、骨盤内にある臓器が圧迫されます。圧迫された臓器は動きが鈍くなり、代謝の低下を招くことから、脂肪が付きやすくなります。
代謝が悪くなるとカロリーを消費しにくくなり、摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまうことも太りやすくなる原因です。
骨盤の歪みから姿勢が悪くなると背中が丸くなり、腰まわりにも脂肪が付きやすくなるため、ボディラインも変わってくるでしょう。
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3. 内臓機能の低下
骨盤の歪みが引き起こす体への悪影響の3つ目は、内臓機能の低下です。
骨盤が歪んでしまうと体のバランスが悪くなり、正しい姿勢を保てなくなってしまいます。
姿勢が悪くなると内臓が圧迫されたり、血流が悪くなったりして、内臓機能が低下する可能性があります。内臓機能が低下すると、消化不良や便秘、生理不順や代謝の低下などの体調不良が引き起こされるため注意が必要です。
また女性の場合、骨盤は生理周期に合わせて開閉する働きがあります。しかし骨盤が歪んでいると、この開閉の動きがうまく働かずに神経を圧迫し、生理痛や生理不順を引き起こすことがあります。
骨盤は女性にとって大切な臓器を守る役割があるので、歪ませないように気をつけましょう。
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4. 腰・膝・背中等の痛み
骨盤の歪みが引き起こす体への悪影響の4つ目は、腰・膝・背中等の痛みです。
腰・膝・背中等に痛みがある場合、原因として筋肉のこりが考えられます。しかし骨盤の歪みが原因である可能性もあるので注意が必要です。
骨盤は上半身と下半身の中間にあるため、上下から力を加えられてしまい、歪みが発生しやすいといわれています。骨盤が歪んでしまうと、その周辺にある腰の筋肉が影響を受け、痛みを感じて腰痛が生じるのです。
また、骨盤の歪みを放置していると背骨の歪みを引き起こしてしまうため、腰痛だけではなく肩こりや膝痛などの原因となります。
骨盤の歪みがひどい人に出る症状は?
これまで骨盤の歪みが引き起こす悪影響について解説してきました。
ここからは骨盤の歪みがひどい人に出る症状をみていきます。
以下のような症状がある人は、骨盤が歪んでいるかもしれません。
- 肩こり
- 腰痛
- 冷え性
- むくみ
- 下腹が出る
- 代謝の悪化により太りやすくなる
- 便秘
- 生理不順や生理痛
- 下肢の痛みやしびれ
これらは、骨盤が歪むことでリンパや血流が滞るために引き起こされる症状です。
骨盤が歪むと体の一部に負荷がかかったり、可動域が制限されたりしてダメージが蓄積され、体の機能の不調となって現れます。
ひどくなると骨盤周囲の組織のバランスを崩してしまい、腰周辺の神経を圧迫して下肢に痛みやしびれが出ることもあります。
症状が慢性化していると本人が無自覚のまま放置してしまい、さらに症状を悪化させてしまう場合があるため注意が必要です。
骨盤の歪みがひどくなる原因とは?
上記では骨盤の歪みがひどい人に出る症状をみてきました。
ここでは骨盤の歪みがひどくなる原因をチェックしていきましょう。
骨盤の歪みがひどくなる原因として、以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説します。
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1. 日常生活の姿勢・くせ
骨盤が歪む原因のひとつとして、日常生活の姿勢やくせが考えられます。
以下のような生活習慣やくせがある人は、骨盤周辺の筋肉や関節に余計な負荷がかかっている可能性があるので注意しましょう。
- 立っているときに片足に重心をかけている
- いつも同じ方の手や肩にカバンを掛けている
- 座るときに足を組んでいる
- パソコンやスマホの画面を前傾姿勢で見続けている
- 長時間同じ姿勢でいる
骨盤は体全体を支える土台となる骨格です。上記のような日常生活を続けていると全身のバランスが崩れて骨盤が歪んでしまう原因になります。
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2. 筋力不足
筋力不足も骨盤が歪んでしまう原因のひとつです。
運動不足などにより筋肉量が減ると、筋力が低下してしまいます。骨盤は筋肉で支えられているため、筋力不足になると骨格を支える力が弱くなり、骨盤が歪みやすくなってしまうのです。
筋力が弱くなると正しい姿勢を保つことが難しくなり、体のバランスが悪くなります。体の重い部分を支えるために骨盤が前後のどちらかに引っ張られ、傾いてしまいます。この状態で日常生活を続けていると体の片側や一部に負荷がかかり、骨盤が歪んでしまうのです。
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3. 妊娠や出産
女性の場合、妊娠や出産も骨盤が歪む原因となります。
骨盤は、妊娠や出産に関わる臓器を保護している骨格です。妊娠するとお腹が大きくなり、重くなっていきます。子宮が大きくなることで心臓や肺などの内臓の位置が変わるなど、急激な体の変化が起こり、体の重心がずれやすくなります。
このような妊娠や出産による体の変化が骨盤の歪みに影響するのです。
妊娠中は胎児を支えるために骨盤周辺の筋肉にも負荷がかかり続け、痛みが生じることもあります。また、産後も骨盤にはさまざまな負荷がかかるので注意が必要です。
産後の女性は男性に比べて筋力がないため、赤ちゃんを抱く際に腰で支えようとしてしまいます。この時にお腹を突き出した姿勢になると、骨盤は後ろに引っ張られるため姿勢が悪くなります。
育児は何年も続くので、骨盤の歪みがどんどんひどくならないように気をつけてください。
骨盤の歪みを改善する方法3選
骨盤は日常生活の姿勢や筋力不足が原因で歪んでしまうことがあります。歪んでしまった骨盤を改善するにはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは骨盤の歪みを改善する3つの方法を紹介します。
この方法を実践して、骨盤の歪みを改善していきましょう。
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1. 日頃の姿勢に気をつける
骨盤の歪みを改善するためには、日頃の姿勢を意識して気をつけることが大切です。
日常生活の中でついつい続けてしまっている悪い姿勢やくせを見直しましょう。それぞれの仕事や環境により、ある程度ルーティーン化している動作があるものです。
電車に乗っている時に無意識に体の重心を片足に置いて立っていたり、椅子に座る際に足を組んだりしてはいませんか?自分にとって楽な姿勢であったとしても、骨盤には負荷がかかっている可能性があります。悪い姿勢や動作のくせをしないようにするだけで、骨盤の歪みをある程度防げます。
正しい姿勢とは、体を横からみた時に、耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線になっている状態です。
日頃の姿勢に気をつけて、なるべく正しい姿勢を保つように心がけましょう。 -
2. 血流の改善
骨盤の歪みは、血流を正常に戻すことで改善される可能性があります。
血流が悪いと筋肉や内臓が収縮してしまうことから、骨盤の歪みを引き起こすのです。
血流が改善されれば冷え性やむくみなどの症状も緩和され、骨格と内臓の健康を維持できます。血流を改善するためには、骨盤まわりの血行促進に効くアイテムなどもおすすめです。
腰全体を包み込む着圧レギンスや、磁気を使用したアイテムなどは、目立たずに活用できます。最近では、さまざまな血行促進アイテムが販売されているので、気軽に活用して血流改善に役立てましょう。
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3. ストレッチで骨盤を正しい位置に戻す
骨盤の歪みを改善するためには、骨盤を正しい位置に戻すストレッチが有効です。
ストレッチなどの運動によって筋力や柔軟性を向上させ、筋肉のバランスを整えて体の中心軸を作り、骨盤を正しい位置に戻します。
とくに骨盤まわりの筋力や柔軟性を高めることで、骨盤の歪みだけではなく以下の2つの効果が期待できるでしょう。-
筋肉の疲労回復
ストレッチをすることで筋肉の血液量が増加し、酸素などが正常に運ばれるようになるため、筋肉の疲労物質が減少します。 -
けがの予防
ストレッチにより筋肉の柔軟性が向上し、関節の可動域が広がります。筋肉の動きに余裕が生まれるため、けがの予防につながるのです。
骨盤を正しい位置に戻すには、日常生活にストレッチなどの運動を取り入れ、意識的に筋肉を使うことが大切です。
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筋肉の疲労回復
骨盤の歪みのチェック方法
これまで解説してきたように、骨盤の歪みは体にさまざまな悪影響を引き起こします。
しかし、自分の骨盤が歪んでいるのかどうか、わからないという人も多いことでしょう。
ここでは骨盤の歪みをセルフチェックする方法をお伝えします。自分で簡単に判断できるので、ぜひ試してみてください。
チェック方法は以下の2種類です。
このチェック方法で骨盤の歪みを自覚し、必要な対策を立てて改善していきましょう。
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1. 壁に背中をつける
骨盤の歪みをチェックする方法の1つ目は、壁に背中をつけて行う方法です。
以下の手順でチェックしてみましょう。- 壁に背中をつけて立つ
- 壁と腰の間に手を入れる
- 手のひら1枚分のスキマがあれば正常
壁と腰の間に手のひら1枚分以上の隙間がある場合骨盤は前傾しており、狭い場合は後傾気味であるといえます。
また、左右の傾きをチェックする場合は、以下の手順で行いましょう。
- まっすぐ立ったまま両手を腰に当てる
- 親指が触れる骨の高さを比べる
- 左右の骨の高さに差があるかどうかをチェックする
左右の骨の高さに差がある場合、骨の位置が高くなっている方に傾いていることがわかります。
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2. 仰向けになって膝を立てる
骨盤の歪みをチェックする方法の2つ目は、仰向けになり膝を立てて行う方法です。
以下の手順でチェックしてみてください。- 仰向けになって膝を立てる
- 両膝をつけて左右の膝の高さを比べる
- 左右の膝の高さに差がある場合は骨盤が歪んでいる可能性が高い
骨盤が歪んでいると左右の足のバランスが悪くなるため、両膝の高さに差があると骨盤が歪んでいる可能性があるのです。
さらに、同じく仰向けで膝を立てる方法で骨盤のねじれを確認することもできます。
- 仰向けになって膝を立てる
- 両膝をつけたまま左右に倒してみる
- 倒しやすい方の骨盤が歪んでいる可能性が高い
上記の方法でセルフチェックをし、骨盤の歪みを発見した場合は、この後紹介するストレッチを試してみてください。
ひどい骨盤の歪みを改善するストレッチを紹介
ひどい骨盤の歪みを改善するためには、骨盤の周囲の筋肉を伸ばして軟らかくするストレッチが効果的です。セルフチェックで骨盤の歪みを発見した方は、ぜひ実践してみてください。
ここでは、骨盤の歪みを改善する効果が期待できる3種類のストレッチを紹介します。
それぞれのシチュエーションに合わせて簡単に行えるストレッチなので、無理のない範囲で継続し、改善していきましょう。
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1. 立った状態でできるストレッチ
ひどい骨盤の歪みを改善するストレッチの1つ目は、立った状態でできる太もものストレッチです。定期的に太ももの筋肉をほぐすことで、骨盤を正しい位置にキープする効果があります。
- 立った状態で、手で片方のかかとを持ち、お尻に近づける
- 腹部に力を入れる
- 太ももの前側を意識し、伸ばしながら膝を後ろに引く
- 15~30秒間キープする
- もう片方の足も同様に行う
立った状態でできるストレッチなので場所を選ばずに行えます。スキマ時間を見つけて習慣化しましょう。
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2. 座った状態でできるストレッチ
ひどい骨盤の歪みを改善するストレッチの2つ目は、座った状態でできるストレッチです。
お腹の横側にある腹横筋を中心に骨盤周辺を鍛えられます。
- あぐらをかく形で座る
- 背筋を伸ばして胸を張る
- 右足で左太ももをまたぐ
- 左ひじを右膝に当てる
- 息を吸い、吐きながら上半身を右側にねじる
- この姿勢を30秒キープする
- 反対側も同様に行う
- 左右3回セットずつ行う
骨盤は、腹直筋・内外腹斜筋・腹横筋の3つの腹筋によって守られているため、腹横筋を鍛えるストレッチは骨盤の歪みに有効です。
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3. 寝た状態でできるストレッチ
ひどい骨盤の歪みを改善するストレッチの3つ目は、寝た状態でできるストレッチです。
お尻にある筋肉を鍛えられるストレッチで、骨盤の前後の傾きを調整することが期待できます。- 仰向けに寝て両膝を立てる
- 両手を体の横に置き、手のひらを下に向ける
- お尻を持ち上げる
- 頭から膝までがまっすぐになるように意識し、5秒間キープする
- お尻をゆっくり下ろし、床のつくぎりぎりの所で止める
- 3~5を繰り返す
- 5回を1セットとして3セット行う
簡単なストレッチですが、継続することで骨盤の歪みを改善できます。
まとめ
骨盤の歪みがひどい時の体への悪影響や症状の解説を中心に、骨盤が歪んでしまう原因や改善方法についてお伝えしてきました。
骨盤は体を支える大事な骨格なので、正しい位置にないと正常に機能できません。骨盤周辺の筋肉や臓器に影響を与えるため、腰痛や冷え性、生理痛や便秘などのトラブルも引き起こしてしまいます。
しかし、日常生活での姿勢やくせを見直し、ストレッチなどの運動を取り入れることで改善が可能です。セルフチェックで骨盤の歪みを見つけたら、ひどくなる前に対処して、健康的な生活を取り戻しましょう。