何気なく自分のお尻に触った時に「冷たい」と感じたことはありませんか?
なかにはお尻が冷たいのが当たり前になっていて、とくに問題だと思っていない人もいることでしょう。
しかし、お尻が冷たいのを放置していると、体にさまざまな不調を引き起こす原因となる可能性があるのです。
この記事では、お尻が冷たくなる原因と、放置することで起こるかもしれない3つのことについて解説します。
後半では対策方法6選と、効果的なストレッチも紹介しますので、ぜひ実践して日常生活に取り入れてください。
目次
お尻が冷たくなる原因3つ|女性に多いのはなぜ?
冷え性は女性特有の悩みだといわれています。
手足や首周りを冷やさないように、日頃からさまざまな対策をしている人は多いことでしょう。
しかし、お尻は冷えていても気付かないことが多く、ほとんどケアをされていない部分です。
お尻が冷えていてもあまり影響がないと感じるかもしれませんが、実はお尻の冷えが原因で体に不調を生じる場合があります。
なぜ、お尻は冷たくなってしまうのでしょうか。
お尻が冷たくなる原因として、以下の3つが考えられます。
また、お尻の冷えは男性より女性に多くみられる症状です。
ここではその理由も合わせて解説します。
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1. お尻のこりがひどい
お尻が冷える原因の1つ目は、お尻のこりがひどいことです。
お尻には大臀筋や中臀筋、梨状筋などの大きな筋肉がミルフィーユ状に重なっています。
この筋肉が加齢や運動不足などによって硬くなり、下半身につながる太い血管や、血流を調整する働きのある神経を圧迫します。
その結果血流が悪くなり、お尻の冷えにつながるのです。お尻のこりが原因の冷え性が女性に多いのは、男性に比べて筋肉量が少ないためです。筋肉には熱を作る働きがあり、筋肉が作り出す熱によって温められた血液が全身を巡り、体温を保っています。
男性は女性に比べて筋肉量が多く、筋肉もつきやすいため、女性よりも冷えにくい体の構造になっているのです。
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2. 脂肪が多く筋肉が少ない
お尻が冷える原因の2つ目は、お尻には脂肪が多く、筋肉が少ないことです。
上記で説明した通り、お尻には大臀筋という大きな筋肉がありますが、脂肪も多くついています。脂肪は冷えやすく温まりにくいため、お尻は体のほかの箇所に比べて冷たくなりやすい部分です。
また、脂肪は冷えている箇所につきやすいため、冷えの悪循環に陥る可能性があります。さらに女性には妊娠・出産という役割があることから、子宮を守るために骨盤周りの皮下脂肪がつきやすいのが特徴です。
このような理由から、筋肉よりも脂肪が多い女性の方が、男性に比べてお尻が冷えやすいといえるでしょう。
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3. 骨盤のゆがみ
お尻が冷える原因の3つ目は、骨盤のゆがみによるものです。
骨盤にゆがみがあると、太もものつけ根にある鼠径リンパ節に集まるリンパ管や血管が圧迫されることがあります。このリンパ管や血管が圧迫されると、リンパや血液の流れが悪くなり、お尻やその周辺が冷えてしまいます。
また、女性の場合は骨盤内に子宮などの大切な臓器があるため、骨盤がゆがむとこれらの臓器の働きも弱まってしまうでしょう。そうなると血液や水分の循環にも支障が出ることから、全身の血行が滞り、むくみの原因になります。
骨盤のゆがみはお尻の冷えだけではなく、女性特有のむくみを引き起こす可能性があるので気をつけましょう。
お尻が冷たいのを放置するとどうなる?
何気なく自分のお尻を触ったときに「冷たい」と感じたとしても、そのまま放置している人がほとんどです。
ではお尻が冷たいのを放置すると、どのようなことが起こるのでしょうか。
ここではお尻が冷えることで生じる体の不調を3つ挙げて、その理由を解説します。
それぞれみていきましょう。
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1. 太りやすくなる
お尻が冷たいのを放置すると、太りやすくなります。
お尻の冷えによって代謝が落ち、老廃物を溜め込みやすくなるためです。老廃物が溜まるとお尻が垂れはじめ、下半身太りの状態になります。
とくにデスクワークが多く座りっぱなしの人は、血液循環が悪くなり、脂肪がつきやすくなります。脂肪は一度冷えると温まりにくく、冷たい場所につきやすいため、脂肪が増える悪循環に陥ってしまうでしょう。お尻の筋肉は、日常生活であまり使う機会がありません。運動する習慣がない人は筋肉量が減っていき、脂肪が増えて太ってしまうのです。
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2. 病気につながる
お尻が冷たいのを放置した結果、以下のような病気につながるケースがあります。
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腰痛
お尻が冷えて血行不良になると、近い場所にある腰も影響を受けるため、痛みなどの症状が出ます。
また、お尻の筋肉が衰えると姿勢を維持するのが難しくなり、腰の筋肉でカバーしようとするのも腰痛を引き起こす原因の1つです。 -
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰から足にかけて流れている坐骨神経に沿ってあらわれる痛みの症状です。坐骨神経痛の原因は、お尻の筋肉にあります。冷えて硬くなったお尻の筋肉が、その下を流れる血管神経を圧迫し、痛みやしびれの症状を引き起こすのです。 -
婦人科系の病気
お尻が冷えていると骨盤内の血行が悪くなり、子宮やその周辺の内臓も冷えやすくなります。骨盤周辺の冷えは生理痛や生理不順、便秘などさまざまな病気を招きます。
また、子宮の血行不良が長く続くと、子宮内膜症や子宮筋腫などの深刻な病気につながる恐れがあります。
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腰痛
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3. 不妊につながる
お尻が冷たい場合、子宮も冷えているため、子宮環境の悪化につながる場合があります。
冷たい部分は血行やリンパの流れが悪くなるので老廃物が溜まりやすく、骨盤周囲の内臓に栄養が行き届かなくなるためです。
子宮にも必要な血液を送れなくなるため、子宮内膜も十分に厚くできません。また、お尻の中心部分にある「仙骨」には副交感神経が通っています。この神経は卵巣につながっており、活発化すると卵巣の血流が良くなります。そのため、お尻が冷えて仙骨が冷たくなると卵子の質が悪くなり、妊娠率の低下につながりうるのです。
お尻が冷たい時の対策6選|効果的な温め方を解説
ここからは、お尻が冷たい時の対策として、以下の6選を紹介します。
それぞれの効果的な温め方も解説するので、ぜひ試してみてください。
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カイロで温める
お尻の冷えを今すぐに温めたい場合は、即効性のあるカイロがおすすめです。
最近ではお尻用のカイロも販売されているので、手軽に利用できます。カイロは、直貼りやショーツの上から貼ると、熱すぎて低温やけどになる可能性があるので注意が必要です。
スパッツやレギンスなどの上から貼るとちょうど良い温度になるでしょう。また、お尻にポケットがあるパンツを着用する場合、カイロをポケットに入れる方法もあります。お尻の冷えを感じたらすぐに温められるので便利です。
カイロを仙骨(お尻の中心にある逆三角形の平らな骨)に当てて温めるとより効果的です。
仙骨周辺はリンパの流れが滞りやすいため、ここを温めることで腰痛や生理痛の緩和に効果が期待できます。 -
筋トレする
筋肉量の少なさが原因でお尻が冷えてしまっている場合には、筋トレがおすすめです。
体熱の多くが筋肉によって作り出されます。筋肉が増えると体が冷えにくくなり、代謝がアップします。また、筋肉は収縮することで血液を循環させるポンプの役割をもっており、筋肉が増えると血行も良くなるでしょう。
お尻の冷えは、筋トレによって血行を改善することで、内側から解消できます。筋トレは筋肉量を増やし、代謝をアップさせて体温を上げる効果があります。しかし、筋トレ自体は筋繊維に負担をかけて破壊する作業です。破壊された筋肉は休息することで以前より強くなっていくため、適度に休息を入れながら長期的に取り組むとよいでしょう。
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お尻の冷えに効くツボを押す
お尻の冷えは、お尻の筋肉のツボを押すことで改善が期待できます。
ここではお尻の冷えと血行が改善できる「臀中(でんちゅう)」のツボを紹介します。
ツボ押しはソフトボールを利用して行うため、用意してください。
ツボの位置はお尻の真ん中あたりです。- 床の上で仰向けになる
- 床とお尻の間にボールを入れ、体を斜め45度に傾けてツボを押す
- 体重を使い、1回30秒ほど行う
回数は1日に1~2回が適切です。
お尻の冷えには、ツボを刺激して血流を改善するとともに生活習慣の見直しも大切です。首元やお腹などの体幹を保温し、食事をしっかりとることで、外内の両側から熱量を増やしていきましょう。
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半身浴を行う
お尻が冷たい時の対策として、半身浴もおすすめです。
お風呂をシャワーで済ませている人は、下半身だけ湯船に浸かる半身浴を試してみてください。ゆっくり時間をかけることで、芯から体が温まります。
38〜40℃くらいのぬるめのお湯に15~20分ほど浸かるのが理想的です。半身浴なら防水対策をしたタブレットやスマホ、本などを持ち込んで楽しめます。リラックス効果もあるので、体を温めるだけでなく、日頃のストレス解消にもなるでしょう。
より体を温めたい場合は入浴剤が効果的です。とくに炭酸ガス系の入浴剤には血管拡張効果があるので、冷えに悩んでいる人におすすめです。
入浴剤はその日の気分によって好みのものに変えられるので、バスタイムが楽しくなるでしょう。 -
お尻が冷えないインナーを履く
お尻を冷えから守るために、お尻を温めるインナーを選ぶ方法もあります。
毎年秋冬に販売される保温下着は年々進化しており、最近ではショーツタイプも展開されています。
下着は直接肌に触れるものなので、このショーツに変えるだけでお尻の保温効果を実感できるでしょう。
下着は毎日履くものなので、素材や履き心地を重視しがちですが、保温効果にも目を向けて選んでみてはいかがでしょうか。お尻の冷え対策として、お尻をすっぽりつつむタイプのショーツやガードル、腹巻や毛糸のパンツもおすすめです。
また、肌が敏感な人は、綿やシルクなどの天然素材の保温下着を選ぶとよいでしょう。 -
お尻のこりをほぐすグッズ・アイテムを使用する
お尻のこりが原因で冷えている場合は、グッズやアイテムを使用してこりをほぐしましょう。
さまざまなグッズ・アイテムが販売されているため、ここでは使用しやすい3種類を紹介します。- お尻マッサージチェア
お尻マッサージチェアは、座っているだけでお尻のこりをほぐしてくれるアイテムです。座面が大きくリラックスできるソファータイプと、コンパクトで場所をとらない座椅子タイプがあります。 - お尻マッサージ器
持ち運びできるマッサージ器は、グイグイとツボを押し、凝り固まった筋肉をほぐしてくれます。場所を選ばずマッサージしたい人におすすめです。 - お尻のクッション
お尻のこりをほぐす指圧ボール内蔵のクッションは、温め機能がついているものがおすすめです。こりをほぐすだけではなく血行を良くし、冷えにくい体づくりもケアしてくれます。
自分に合ったグッズをみつけて、すき間時間に活用しましょう。
- お尻マッサージチェア
お尻のこりに効くストレッチ2選
最後に、お尻のこりに効くストレッチを2選紹介します。
どちらも1人で簡単にできるストレッチなので、ぜひ取り入れてみてください。
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寝ながらストレッチ|寝る前のたった3分で!
最初に紹介するのは、寝る前のたった3分で実践できるストレッチです。
基本姿勢から3つの動作を行うことで大殿筋の真ん中・内側・外側をまんべんなくほぐすことができます。
まず、膝を立てた状態で仰向けになる基本姿勢を作りましょう。
- 大殿筋の真ん中をほぐすストレッチ
1.基本姿勢から右膝を外に開き、右手で膝を、左手でかかとを持って引き寄せる
2.右の太腿をまっすぐ胸に引き寄せて30秒キープする - 大殿筋の内側をほぐすストレッチ
基本姿勢から、右太ももを外側に向けて胸に引き寄せて30秒キープする - 大殿筋の外側をほぐすストレッチ
基本姿勢から、右太ももを内側に向け胸に引き寄せ30秒キープする
足を入れ替えて反対側も同様に行う
【ストレッチのポイント】
●リラックスしながら深い呼吸で行う
●長時間座りっぱなしの人はとくに念入りにストレッチする - 大殿筋の真ん中をほぐすストレッチ
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座ったままストレッチ|デスクワークの合間に!
次に紹介するのは、デスクワークや家事の合間におすすめの、座ったままでできるストレッチです。
- 1.姿勢を正してまっすぐ椅子に座り、右足を左のももの上に乗せる。
- 2.左ももの上に乗せた右足の膝裏に右ひじをかけ、息を吐きながら上体をゆっくり前方に倒す。お尻の筋肉が伸びているのを感じながら、5~10秒キープする(呼吸は止めない)
- 3.上体を戻し、今度は外側に体重をかけるように斜め前に倒していく
- 4.倒す角度により伸びるお尻の筋肉も変わるので、前方、外側、内側と角度を変えて繰り返す
反対の足も同様に行い、倒す角度を変えながら3回を目安に繰り返す
【ストレッチのポイント】
●座った時にひざが直角になるよう、椅子の高さを調整する
●デスクワークで同じ姿勢を続けがちな人は、1時間に1回程度行う
まとめ
この記事では、お尻が冷たくなる原因や対策を中心に、効果的なストレッチ方法なども合わせて解説してきました。
お尻の冷えをそのまま放置していると、太りやすくなるだけではなく、さまざまな病気や不妊などを引き起こす原因になります。保温効果のあるインナーや便利なグッズを活用しながら、できるだけお尻を冷やさないように心がけてください。
ここで紹介した対策方法を実践し、お尻を冷やさない生活習慣を身につけましょう。